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模擬会話

リズと青い鳥

大好きな Homecomings が主題歌をやるということで「リズと青い鳥」を見てきた。

liz-bluebird.com

僕は感情を表に出すのが苦手だ。 表現のしかたが分からないという面もあるし、表に出すのを恥ずかしいと思っている面もあるし、表に出しても誰も気に留めてくれないのではないかという恐怖もある。

そのように感情を表に出さないように生きていると本当にびっくりするくらい誰にも気づかれないようで、「人の感情は話せばわかる」などと豪語してはばからない人も明らかに僕の感情に気付いていない行動をするし、感情を読むことも仕事のうちというような職業の人からもきれいに見落とされる、ということがあって、まぁそりゃ自分で表に出さないようにしているんだから誰にも分からないのは当たり前だよな、と思いつつも、「気づかれたくないけど、気付いてほしい」みたいなアンビエントな気持ちになることもたくさんあって、でも自分から気付かれないようにしているんだから気付いてもらえないのは自業自得だよな…、でも本当は理解してほしい…と感情のはけ口が見つからないのが常だった。 カウンセリングを受けても本を読んでもまずは自分の感情を明確に出しましょうというところから話がスタートしていて、結局そういうふうに矛盾した態度を持つのは幼稚なことでダメなことなんだと自分に言い聞かせていた。

それがこの映画では登場人物たちが気付かれないようにしている感情が物語の中心で、中心なんだけどその視点の置き方が絶妙で、気付かれたくないという気持ちに完璧に配慮しながらも気付いてほしいという気持ちもすくい取ってくれるようなことになっていて、こういう世界もあるんだと目が開かれる思いだった。 監督の山田尚子さんはそのような感情への態度を「彼女たちの尊厳」とまでポジティブな言い方をしているのだが、それも映画を見ると理解できる。

なんだか自分の感情も肯定してくれた気分になって、嬉しかった。救いになった。 そのような物語が存在するということにもそうだし、少なくともそういう気持ちを汲んで作品として世に出してくれる人がいるということにもそう。 単純に何年も物語を摂取していなかったというのもあるけど、そういう話に出会えて良かったなと思う。

3回観たけど、毎回新鮮な発見があって、感想が変わる。 また観るかも。